2010年11月25日木曜日

誰も責任を取りたがらない時代

今はリアル図書館戦争か、第二次ハレンチ大戦争と言う感じがします。
都側は強制的に今回の修正案を成立させたい考えで、死にものぐるいでやってきています。その結果がこれ。委員への個人攻撃の文面であったとされていますが、終戦直後の教科書ですか?って言うくらいにきれいに塗りつぶされています。ここが本当に個人攻撃であったとしても、これだけ塗りつぶされていれば内容はわかりませんから、別のモノと解釈する事も可能な訳です。個人攻撃と言うのも、向こう側が勝手に解釈したモノで、実際には事実を述べているだけなのかもしれません。むしろ、こんな事をしたら疑惑と反感が増すばかりなのに、こういう事を堂々としてくるのは情報公開時代に頭がついて行かないのか、その程度の事すら想像できないくらいに頭が固かったのか。少なくとも、自分たちが反感を持たれると言う事が想像できないくらい、頭の中が凝り固まってしまっているんじゃないかと思います。もしくは、あの委員さんたちがしたいのは、結局のところ、こういう事なんじゃないでしょうか?とにかく都合の悪い者は隠す、隠蔽する、眼に触れない様にする、そこからあとの事は知らないけどって思ってるんでしょうね。どうせ、今までも誰も関連性を調査してない訳だし、これからも誰も調査しないだろうし、そこに数字なんてモノはあり得ないとでも思ってるんでしょう。情報を隠せばいいと言うモノではないし、先の尖閣諸島沖海戦の様に情報を公開する事で明らかになる事もある訳です。何しろ、尖閣諸島沖海戦のビデオを公開しなかった事を非難した都知事が、こういう事をしている親玉な訳ですから、こいつも信用なんか出来はしないって事です。
今の絶対的な状況から私が送れるメッセージはこれです。

「本施設よりこの通信を聞く『人間達』に最後の命令を送る
 抵抗し 義務を果たせ」

警察だって、何らかの罪が発覚しても罰せられずに終わる事が少なくないんですが、これはよほど青少年の健全育成には悪影響を及ぼすと思いますがねぇ。

2010年11月22日月曜日

小説が漫画より上って誰が決めたんだろう?都知事か?

理系人間である私から見た「青少年健全育成条例改正案」ですが、不思議に思う事が何点もあります。

この条例改正案の問題点は、基本的に3点です。第一に判断基準が曖昧であること。第二に評価とフィードバックがなされないこと。第三に、そもそも条例修正の要因となっている部分が現実的なのかと言う点です。

第一の点については、もっとも判断基準が曖昧だった「非実在青少年」の文言が外された分だけ、6月の提出時よりも具体的になったのは事実です。ただし、「性行為及び性行為類似行為」を「不当に賛美」すると言う判断基準に曖昧さが残っています。多分、大島渚監督の愛のコリーダの裁判を引き合いに出すまでもなく、猥褻の判断そのものが曖昧なのと同様に、「不当に賛美する」と言う部分が曖昧なままに残ってしまいます。人によって判断が異なる部分ではあるでしょうが、この点が具体的に線引きできない以上、公的機関による表現の自由の制限と受け取られてもおかしくはありません。その他、小説は対象外とか、同人誌は対象外等と個別に意見が出されていたのもおかしな話です。見せてはいけない作品であれば、表現形式がどうであれ、すべて遮断しろって言うのがひとつの方法論です。それをやると、都知事の作品も売れなくなる訳ですが。版権持ってる会社は、叩き返してやればいいと思いますけど。

第二の点については、物理/化学の実験に例えると具体的に分かるんじゃないでしょうか。物理/化学の実験では、ある理論に基づいた実験を行なった後に、それを評価して、理論にフィードバックして、新たな理論を元に再実験と言う手法を、ごく当たり前の様に行ないます。ところが、この条例の場合には青少年がどう言う「健全な育成」に至ったのかと言う評価は問題にされていないどころか、考慮すらされていません。言わば、ゴールのないマラソンを走っている様な物です。結果として、単純に規制だけが厳しくなって行くと言う一方向の道しかない様に見えます。「条例だからそれでいい」と言う意見もあるかも知れませんが、ゴールがないと言う事は無限に走り続ける事を意味し、規制に際限がないのと同義です。また、判断を下す側にも問題があり、判断が一方にのみ偏ってしまわない様にしなければならないはずなのに、現状は規制側の人間だけで判断しています。この点についても改正案では明言されていません。

第三の条例修正の要因は、心身が健常な状態ではない子供に、不健全きわまりない作品を見せてはいけないと言う点だと思っています。「作品」としたのは、漫画に限らず、小説や映画、動画等を含めての話です。小説等を規制の対象から外し、漫画だけを規制すると言うのは、一方的に漫画と言う形式を蔑んでいるだけの事です。そのために、子供に見せない様にすると言うのは至極当たり前の事ですが、現状の販売店でのゾーニング等で回避できていると考える事もできます。そもそも、このゾーニングによる販売抑制によって、本当に青少年が見ない(見えない)状態になっているのか、誰かが系統立てて調べているのでしょうか?誰も調べていないのであれば、それを根拠にする事は意味がありませんし、逆に無意味だと断定する根拠としても弱い物になります。また、漫画の影響で誰かに性的ないたずらをすると言った考え方は、マスコミ等で流された根拠のない「ゲーム脳」とか「テレビ脳」等のデマゴーグを思い起こさせます。そもそも、ここ10年程の犯罪白書を調べれば、未成年を含めた強姦事件は減少傾向にあり、いま、規制を強化しなければならない理由にはなりません。

今度ばかりはダメなのかもしれませんが、何もしないで白旗を揚げるのも目覚めが悪いので、精一杯抗ってみようかと思います。