何やら、またきな臭い状況になって来た様ですが、今回の条例について思っていることを書き出してみます。
まず、青少年健全育成条例そのものですが、前にも書いた通り、「どのような状態が健全な育成であるか」という定義がなされないままに、この状態を目標にしていることに疑問があります。未だ、「世界一高速なコンピュータ」の方が具体性があると言っても過言ではありません。条例そのものが曖昧なため、それを改正するにあたって誰も具体的なことを入れないというのがひとつの問題点であろうと考えています。もちろん、条例は曖昧を持って良しとし、運用で厳しく取り締まるというのは常套手段なのは言うまでもありません。
まず、この改正案について思うのは、恣意的な運用による言論弾圧という事態になりかねないという不安がもっとも多いのではないでしょうか。4月には質問/回答集が都からでている訳ですが、これは良し、これは良しというものばかりで、良しとした理由に具体性が欠けています。先にのべた曖昧さの結果ですが、「キューティハニーの変身シーンは良し」というのはいいのですが、それが良しとされた具体的な根拠は示されていません。逆に取れば、都側からこのような言い分がでている以上、それは改正案を恣意的に解釈して、運用していることになります。このような恣意的な運用が可能である以上、これ以上に恣意的な運用がされて行くのではないかと言う不安が残ります。また、示されている例は少なすぎて、どこまでが良いのかは運用まかせです。ちなみに、どの「キューティハニー」かと言う問題はありますが、設定年齢は16歳の未成年で、無免許でバイクを乗りこなしている、実に反社会的な存在です(笑)。「著作権の問題で、他は具体的に言えない」等と言うふざけた発言があったと記憶していますが、キューティハニーの使用権はとったのかと小一時間(ry…。
第二に、この質問/回答集ですが、ここで示された例は条文には反映されていません。従って、ここに記載されていることは、条文のみを見て運用する場合には何ら効力を持たないことになります。極端な話、担当者が変わったら、そんなことは知らないとなりますし、サイトから削除されれば、公式な記録としてはなかったことにもなってしまいます。つまり、都側から示された明確なはずの回答集にも関わらず、まったくもって信用できない状態にある訳です。
三番目に、「今回は小説は対象外」と都側から説明されてはいるのですが、条文を見るとそんなことは書いてありません。小説も印刷物やインターネットで閲覧可能な形式になっているため、条例の対象外ということではあり得ないはずです。ところが、何故「小説が対象外」となったか。単純に言えば、石原都知事のご機嫌伺い以外の何者でもありません。一説には、小説の場合にはイメージを描くために脳が活性化するという話もありますから、ストレートな絵よりも数段性質が悪いかもしれません。これもまた恣意的な解釈に基づく運用ですし、勝手に例外処理を行なったことも不信の原因の一つになっています。
4番目、この改正案を提出した方々にも問題があります。言動に問題がなければいいのですが、自分と意見が異なる人間を指して「遺伝的認知障害者」等と言うに至っては、お前の方がおかしいんじゃね?と思われて当然です。そう言う問題のある言動を起こす様な方々が原案を作った以上、それ自身が一方的な面からの意見だというのは火を見るよりも明らかって奴です。また、それを元にした案がまともなものと、誰が断言できますか?
以上の点から、この改正案が恣意的な運用を前提にしているのは明らかですし、賛成派はそれを目指していると考えられます。重要なのは、その先にある言論弾圧を回避することです。都という自治体が行なう以上、それなりに慎重になるべきなのですが、そう言う配慮が全くなされていないのがこの改正案の特徴です。
改正案の改正案が出される様ですが、これも極端には変わっておらず、文面をより曖昧にして、分かりにくくしただけの様に思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿